平成19年10月21日、江東区潮見駅前プラザ一番街ペットクラブ主催 「被災地に学ぶ、人とペットの災害対策セミナー」に講師を派遣しました。
このマンションではペットクラブを組織し、日ごろから飼い主に役立つ情報提供や、飼い主のマナーアップのための活動(飼育に関する勉強会、会報の発行、飼育されているペットの写真つきの住民票の作成など)を行い、ペットを飼っている人といない人とのマンション内の共生に取り組んでいらっしゃいます。
当日は、潮見駅前プラザの住人だけでなく、近隣のマンションからの参加や、ペット(犬2頭)の参加もありました。とてもお行儀よくしつけられていた犬たちは、2時間のセミナーの間、静かに飼い主のそばで待つことができていました。
セミナーでは、被災地の状況を生々しく映した画像を見ながらの講演に、参加者の殆どが、大規模災害の悲惨さと、その後の被災者と動物の生活の厳しさを切実に感じてくださったようです。
そして、自分たちも個人レベルで、またペットクラブとしても、できることから何か始めたい、という感想をいただきました。
これまでも、神奈川県川崎市や東京都北区、など、大型のマンションでの災害対策について、勉強会やアドバイスを行ってまいりましたが、いずれの場合も共通する準備があります。
まずは、マンション内の人と動物の共生が円滑に行われていること。
同じマンションにすむ住人が、最寄の避難所で共同生活を送る際に、同行したペットを受け入れてもらえるかどうかは、普段からマンション内でトラブルが起こってないことが大切です。
次に、飼育動物の数や種類を把握した、正確な住民台帳。
お互いに助け合って避難を行う際に、規定の数をこえて動物を飼っていたり、許可されていない動物を飼っていたりすることで、マンション内の方に協力をお願いしづらくなり、結果、ペットを置いて逃げられない、一部のペットしか連れ出せなかった、等等、動物だけでなく、飼い主の避難の妨げになります。また、お互いに、どの家でどんな動物が飼われているかを知っておくことで、避難の際に狭い非常階段で出くわして驚いた、動物同士ケンカになった、動物が逃げてしまった、という事故は防げるでしょう。更に飼い主が不在の際に、留守宅のペットの救助をしてもらう、などといった共助も行えます。
最後に、共同の備蓄庫の設置。
大きな地震でエレベーターが使えない高層マンションの非常階段で、人のための持ち出し品を持ち、子供やお年寄りに手を添えながら、動物も連れて徒歩で階段を降りていくことを想像してみてください。狭い階段は、避難する人や荷物や動物でごった返しています。たとえば大型犬を複数頭飼育していたとしたら、犬の避難だけでも大変な上に、数日分の動物の水と餌やケージ類を持って避難することは、現実的とは言えません。高層階で階段を使用する場合は、すみやかに安全に避難できるよう、なるべく身軽にしておく必要があります。だとすれば、飼い主の会などを組織し、マンションの1階に共同の備蓄庫を用意してはどうでしょう。
防災の3つのキーワード、「自助」「共助」「公助」のうち、「共助」(近隣のコミュニティによる助け合い)が薄れがちな都会で、すでに共同体が作られているマンションならではの防災計画を、この機会に検討してみてください。
一緒に暮らすペットを守ることができるのは、飼い主であるあなただけなのですから。
レポートJ・I
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