平成14年12月18日、防災意識を高める試みとして東京消防庁の施設である立川防災館(立川都民防災教育センター)に行ってきました。
防災に役立つ情報を得たり、災害時をシミュレーションした体験学習ができ、5点満点で訓練評価もしてくれます。
訓練体験はインストラクターがついて説明してくれます。
また、体験したいものを適宜組み合わせてこちらの都合などに合わせたコースも作ってくれます。
もちろん想定しているのは人間にとっての訓練なのですが「ここに動物が一匹いたら・・・」と考えながら取り組むことで、考えるべきことが見えてきました。
(1)ミニシアター鑑賞
地震についての15分くらいのストーリーです。
落下物やガラスの飛散、火災などのシミュレーション映像では、避難用ケージの種類、強度、大型犬などには、頭から尻尾まですっぽり覆える防災コートと靴の必要性、などの考え方がだいぶ変わりました。
それから、最寄の避難所に実際行ってみたことはありますか?途中に地下道や橋など、災害時に使えなくなる可能性のあるものがあったりしませんか?
地図で確認するだけでなく、一度行ってみるべきです。
(2)地震体験
部屋のセットを実際に揺らし、地震時に敏速に対応できるよう訓練します。
ポイントは
1、火を消すこと、
2、机の下に隠れること、
3、ドアなどを開けて逃げ道を確保すること。
ところが、本当に大きな揺れの時には机も動いてしまい意外と危険に感じるのです。
こんな状況では落下物を避けて動物をゲージに避難させてもゲージが転げまわってしまい、余計に危険ではないでしょうか。
それに、パニック状態に陥って「ハウス」の指示に従わなくなってしまったら? また、ドアなど開けたら猫など確実に脱走するのではないでしょうか。
いざというときに動物にとって安全な場所、状況をもう一度考えてみるべきでしょう。
地震体験のセット
家具や瓦礫の下敷きになった人を救助するのに使う道具
(3)煙体験
煙に巻かれずに避難する方法を学びます。姿勢を低くするのが基本ですので、床から1.2mのところにセンサーがあり、これにひっかかってしまうと減点の対象になります。腰の曲がらないお年寄りがどうしても引っ掛かってしまうそうです。
より低く煙が立ち込めることはおおいにあります。ゲージの置き場所などによっては動物も煙による死亡がありえるでしょう。
しかし注目すべきはオリエンテーションで語られる、高層建築階段室が煙突の役目をして、階下の煙が一気に最上階まで届いてしまうという話です。
そのスピードは3〜5m/秒。天井にぶつかった煙は人が歩くくらいのスピードで横に広がり、蓄積していきます。 そのスピードは意外に早く階下から順番に避難していたのでは、最上階の住人はかなり危険と思われます。ですから、一階から順番に避難を開始するのと同時に、最上階と建物の構造によってその下何階かの住人も避難を開始する、つまり30階建ての建物なら30.29.28階の住人を優先的に避難させるといった思い切った順序換えをした避難訓練をしてみてはどうでしょうか。
(4)応急処置
心停止は3分、呼吸停止は10分、出血は30分放置すると死亡率は50%になると言われています。適切な心肺蘇生及び処置方法を学んでおきましょう。
人工呼吸のタイミングやマッサージの強度をシートで評価してくれます。
子供と大人では蘇生の方法が違ったり、各救命機関ごとにばらばらだった心停止の判断基準が最近統一された、などの情報が得られるので、後で確認しておくのも良いでしょう。
なお、動物の救急救命の参考として、「犬の救急マニュアル」(ブルース・フォーグル 著 ハ坂書房)をお勧めします。 専門知識のない人にも読みやすく、興味がわきます。
アナイスでも、動物の救命法についてのマニュアルを作製中です。
人形の脇腹から出て来るシートで吹き込み、マッサージの強度とタイミングを確認します
(5)通報訓練
今回私たちはやりませんでしたが、評価対象です。公衆電話、家庭の固定電話、救急、消防などいくつかのパターンで通報訓練をします。
都内からの通報は23区なら大手町、都下なら立川の情報センターにまず繋がり、それから現場の最寄の消防署に連絡され消防車・救急車が出動するので、到着までに最低でも5分ほどかかってしまうのだそうです。
携帯電話だと、県境などでは他県にかかってしまったりしてさらに時間がかかることも。
速やかに救助を受けられるよう、落ち着いて通報する訓練をしましょう。
以上で2時間くらいです。他にも防災ミニゲーム、地域危険度がわかるコーナー、資料室などがあり、わからないことは職員の方に気軽に聞けます。
三日分は用意するというのが常識のようですが、どうですか?ペットの分は?
防災館は都内に3箇所(本所、池袋、立川)あります。ぜひ一度最寄の防災館で防災体験をしてみてはいかがでしょうか。
家族やお友達と行くのがお勧めです。詳しくは東京消防庁のホームページをご覧ください。 参考HP:東京消防庁ホームページ
(リポート A・S)
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私は動物を飼っていないのですが、体験の中でそこに動物がいると想定してこの防災館の体験をやってみました。
しかし、実際体験してみると訓練の中ですら「自分の身も守れないのでは?」というようなような不安さえありました。
実際の災害時では冷静な判断・動きも出来なくなり自分の命も危うくなるのではないでしょうか。そんな中で自分にペットを連れて安全に避難できる余裕がもてるとは思えませんでした。
そんな事を考えていると、災害時に人と動物が安全に避難できるのかと不安を感じてしまいますが、あわてることなく行動がとれるよう、日頃から防災対策について考えていく必要性を感じました。
それと、重要だと思った事が、地域の協力です。
近所の人との十分な防災対策、とまではいかなくても少なくとも自分の近所にどんな人が住んでいるかを知っていれば自分に余裕が出来たときに救助が必要な人・動物を早く助ける事が出来ると思います、過去の災害時では近所の方に助けられた人が非常に多くいるそうです。
さらに、住民同士のコミュニケーションがちゃんと取れている地域ではその後の避難生活も円滑に進みそうな気がします。
体験したあとで、それぞれの生活にあてはめて考えてみると、それぞれの対策が見つかるのではないでしょうか?
(リポート:島田 剛)
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