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この文章は、アナイスが会員向けに発行しているメルマガより抜粋したものです。

特集「地震展」その1

「防災の日」の今日、全国各地で大規模な防災訓練が行われています。
このところ続いている、豪雨や台風による災害は各地に大きな被害をもたらし、また原子力発電所で起こった配管の断裂による死亡事故も、安全管理の上で、地域住民に与えた不安はけして小さいものではありません。
今改めての天災、人災に関わらず、突然起こる災害の脅威を痛感し、防災意識や危機管理の重要性を再認識なさった方は多いのではないでしょうか。
さて、自然災害の中でも、二次災害、三次災害と形を変え人にも建築物にも動物達にも大規模な被害を与える「地震」。防災月間の9月に入り、昨年実施された「THE地震展」(於:国立科学博物館・2003.8.1〜10.26)の様子を報告します。

地震展では阪神・淡路大震災について大きく取り上げられていました。この震災では、建築物のもろさによる一次災害が特徴のようです。死傷者の内訳は家屋の倒壊・家具転倒などによる圧死・頭部打撲等が83.9%と圧倒的。午前5時46分、ほとんどの人が自宅で亡くなっています。また、有名な高速道路横倒し。
あれは支柱の中が空洞で、耐震性がなかったことが原因だそうです。これを教訓に、各地の高速道路で支柱にコンクリートを流し込むなどの、補強工事が行われたそうです。あなたの近所はどうでしょうか。
 また、焼死等15.4%。この二次災害は、速やかに復旧された電気が原因(通電火災)という、皮肉なものです。
破損した電化製品からの出火が多かったというのです。以前、消防署の方が「避難前に電気のブレーカーを下ろしましょう」とおっしゃっていた意味が、初めてわかりました。ところで、実際の揺れは12秒しかなかった、ということご存知でしたか?あまりにも急激なことで、救急隊・自衛隊などの対応も追いつけなかった部分があるそうです。行政の救援が来るまでの間の、住民による初期の救出が大変重要視された災害でもありました。日頃から地域ぐるみで災害に備えることがいかに大切かが証明されていると思います。
 次に地震に関する研究のコーナー。興味深かったのは、震源を立体的に表した模型です。透明な箱の上面に日本地図が描いてあります。箱の側面から見ると。箱を縦に分ける面に沿って、大小のいろいろな色の玉が並んでいます。面はプレートが合わさっている部分、玉の大きさはマグニチュード、色はどちらのプレートが震源になっているかを表すもの。日本の地下のどの位置で、どの程度の地震が起こったかが一目瞭然。断層の断面の実物・実物大写真、レンガに油圧式ポンプで圧力をかけ、プレートの破壊を模して、震度計と同じ様式で表すもの等、わかりやすく工夫されていました。
 このように、地震のメカニズムを視覚で説明する方法は、テレビなどの地震報道にぜひ取り入れてもらいたいと思いました。
 そして、地震予知です。海底、海上、南極、GPSを宇宙から等、観測し予知するのですが、観測点選びの無駄のなさに感心しました。30秒後の地震を予想した実績もあるそうです。
 一方、地震予知の技術は、地下実験施設での核実験の監視にも役立てられています。独特の揺れが表れるらしく、この情報を世界中で共有し、違法な核開発の取り締まりをしています。自然災害だけが災害ではないのです。
(次号に続く)
(レポート 佐野 晶子)



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