平成14年12月25日の朝日新聞朝刊に、中央防災会議専門調査会による「東南海」「東海」同時地震が起きた場合の建物被害と人的被害の調査に関する記事がありました。
建物は全壊数、人的被害は全壊による死者数が計算されたというものです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「東南海」「東海」地震は二十一世紀前半中に発生する確率80〜90%という調査結果が出ており、同時に発生することも大いにありえます。また、同時発生した場合、震度6強、マグニチュード8以上という揺れが予測され、防災を考える上で、今最も注目されていることの一つです。
駿河湾から四国にかけての海底には「トラフ」というプレートの境目があり、これが100年から150年周期で動いてこの地域に大地震が起こります。よって、特に大きな被害が予想されるのは静岡、愛知、三重、和歌山、徳島、高知県の太平洋沿岸部。
結果を言うと、地震の揺れによる全壊が約18万9千棟、地盤の液状化によるものが約8万8千棟。
平野部等では液状化の可能性が高く、濃尾、大阪平野でも大きな被害が想定されています。
死者数は
@建物被害が大きいと予想される午前5時
A多くの人が自宅を離れている正午
B火災の被害が最も大きいと予想される午後6時、
の3パターンで算出されています。
ちなみに、関東大震災は午前11時58分、阪神・淡路大震災は午前5時46分に発生したと私は記憶しています。
最も死者が多いと予想されている@では7400人、
最も少ないとされるAでも3200人ほど、となっています。
しかし、Aでは高層オフィスビルなどが倒壊した場合、状況の悲惨さとしては@Bと大して変わらないのでは?とも思うのです。
@は睡眠中のため避難が遅れる、Bは現代でも夕飯にはきちんと火を使って料理をする家庭が多いということでしょうか。
しかし、動物(ペット)を考えに入れると、最悪なのはAであると予想されます。 避難させてくれる飼い主が自宅にいないのですから。
他2パターンについてはどちらともいえません。動物に予知行動が見られたという報告が過去の震災でありましたが、動物の行動が変わったとして実際の避難行動に大きな影響があるとは思えないからです。
実はこの数字には火災や津波など二次災害による死者予想は含まれていません。
2003年7月に施行予定の東南海・南海地震対策特別措置法の準備として、特に対策強化が必要な地域を決めるための基準として震度と津波の高さの想定を優先したためで、Bの被害はよくわからないのです。
とはいえ、震源地と特に危険な地域の位置を考えると、津波と火災の被害は大変なものであることは容易に想像がつきます。
満潮時には10メートル以上の津波が襲ったり、到達時間も10分以内という予想の出ている地域もあります。
津波対策の基本はすぐ逃げることです。
そのためにどこまで津波が届くのかを示した浸水予測図作りが重要なのですが、現時点で作成している市町村は非常に少ない。
私も実際に調べてみて、その資料の少なさに驚きました。
10m以上の大津波がどこまで浸水するかを「わかりやすく」示した予測図はついに見つけることができませんでした。 もちろん全国版などありません。
また、直接人的被害につながらないかもしれませんが、この地域の沿岸部には東海・中京工業地帯があり、大規模火災が予想されます。
地震に対する防災意識は西日本では低いと言われています。
この地震で危険といわれる地域では耐震基準が改正される以前に建てられた住宅の割合が高く、住宅はもちろん避難所になる公共施設などの耐震診断や、診断に対する補助制度も浸透していないようです。
今回危険とされている地域で浸水予測図の作成や、耐震補強を促進させることはもちろんなのですが、その他の地域でも防災意識を強く持って対策を講じる必要があることは言うまでもありません。
今回の記事は「事前の防災対策を進めておけば、死者は大幅に減らすことができる。そのための時間はまだある」と結ばれています。
我が家は建物自体にそれほど問題はないようなのですが、実質一階部分が丸々駐車場なので崩れ落ちるかもしれません。
周りの地形的には山が多いので土砂崩れが心配でしょうか。
それから2方を大きな道路にふさがれています。災害時の大パニックで渋滞になったらこの方面には避難できないな、と思います。
このように、冷静に家の周りを見回し、家族と話し合ってみるだけでも最初の一瞬で死なない策は見えてくると思います。
ちなみに我が家の柴犬は地震が起きても微動だにせず寝ています。
風呂釜の故障の数日前や、車のオーバーヒート数分前から騒いだりしたことはあるので原発事故なんかは予知するかもしれないのですが。
(執筆 S)
|